寺は平将門が戦勝祈願のため矢を納めたので矢納堂、もっと古くは日本武尊が東征の折、ここに立ち寄り武運長久・東国平定を祈り、鏑矢を納めたから矢之堂。また八幡大菩薩が邪神悪魔退治の際、その放った矢が魔族を射抜いたまま、ここに落ちたからこの名がついたのだ、とも言われております。秩父札所21番は1923年近くの小学校が火災のとき飛び火して、観音堂、庫裏など全て焼けてしまった。だが、本尊の聖観音は幸い火難を逃れたので、近在の人々は火除けの観音様と呼んでいます。ある奇特な人が、折角の巡礼だから1番を1円で振出し、2番は2円と倍々で賽銭をあげようと心に決めて出発しました。3番、4番、・・・10番の512円位まではよかったが、15番になると1万6384円となります。あわてて計算してみたら21番では104万8576円、結願寺の34番になると驚くなかれ85億8993万4592円となります。早速誓いを改め観音さんにお詫びしたという話だが、よく考えてから決めたほうがいいですね。
あづさ弓 射る矢の堂に 詣できて 願いし法に あたる嬉しさ
住所:秩父市寺尾2352 TEL:0494-24-7263
境内に八幡様が祀られております。もともとはここは八幡宮の社地で、ご神託により行基菩薩の刻んだ聖観世音像を安置した縁起があります。お寺の祭事も、この八幡宮のお祭りも、坊さんと神主さんが一緒に拝むといいます。悪鬼退治、病魔追放のご利益があるとして信仰されております。
境内に延命地蔵尊が祀られております。新しいこのお地蔵様は、錫杖をもって優しいお顔をして立っておられます。長寿、延命のご利益があるといわれております。巡礼者が拝んでいる姿をみかけます。
寺門前の道ばたに、当地出身の地芝居座頭中村十九十朗の墓石があります。立役の「田舎千両」役者でありました。俳句を志す人、芸事を望む人々が訪れております。
芭蕉の句碑があります。
しずかさや 岩にしみ入る 蝉の声