札所20番 法王山岩之上堂

寺は秩父札所中最古の建物で境内は荒川に臨む断崖の上にあり、三間四面の堂は向拝から土間に入れるようになっており、須弥壇が間近に仰げるので観音さんと共にあるような感じです。宮殿形の春日式厨子は、扉の見返りに三十三観音・日・月・風・雷神像をとりつけ、内部は金箔押し。秩父札所20番の本尊は2尺3寸5分の聖観音立像で、共に藤原時代の逸品です。堂内に猿子の瓔珞が飾られています。堂内に猿子の瓔珞などを連ねて編み、仏像の頭、首、胸などにかける飾り物が飾られています。千疋猿とも言われ、小切れと綿を使って小猿の形に縫い上げたものを天蓋一張りに千個、観音堂の天井から吊るし飾ったものであります。秩父札所20番は昔、この地の人が実家の母の看病で荒川を渡ろうとしたが大水で舟がなくて困っていると小舟が現れて渡してくれた。それは観音様が子供に姿をかえて助けてくれたのだという話があります。

苔むしろ 敷きてもとまれ 岩の上 王の臺も 朽ちはてる身を

住所:秩父市寺尾2169 TEL:0494-23-9419

札所20番

堂内に「猿子の瓔珞」が垂れ下がっております。千疋猿とも呼ばれているものです。これは子供の無事の出産や、生育を願って母親が夜業に作って奉納したものであります。綿を布でつつむようにして小猿の形に縫ってあります。堂内に天井から吊るしてあってよく目につきます。よくみると、その形が「這う子」に、また母の胎内の「胎児」にも思えます。

 
札所20番

観音堂の裏の方に熊野神社があります。この神様は観音堂一帯と、信仰する人の身体の守護をしてくださるといわれております。木陰で目につきにくいですが、お詣りをおすすめしたいです。巡礼者が拝んでいる姿を見かけます。

 
札所20番

お堂の下に、乳水場があります。大きな岩の下から清水が垂れています。昔、乳母が主人の子にお乳をくれると自分の子供にくれる乳が出なくなって困り果てました。思いつめて荒川に入水しようとしたとき「この水を飲め」という声がしました。そのとおりにすると不思議にも乳房が張ってきてほとばしるように乳が出るようになったといいます。

 
札所20番

寺のお堂は内田家で管理しております。内田家のご先祖様の内田武左衛門尉政勝氏が自らの資金と一部は武蔵、相模、駿河等の国々から勧募して造ったのであります。僧侶でなくて代々このお堂を管理してきたことは内田家の大いなる誇りであります。この偉業を偲んで内田家の墓地にある五輪の塔を拝んでいる人もおります。