札所17番 実正山定林寺

壬生良門という殿様が狩りに来て近くの寺で雨宿りした。利口そうな坊主がいたので名を尋ねると以前忠言に立腹して追放した林定元の遺子なので驚いた。殿様は怒りっぽい性格だった。そこで前非を悔い林定元をともらうため建設したのがこの秩父札所17番寺と言われています。秩父札所17番は1963年に再建されたもので、ここに掛けられた銅鐘は、高さ138cm、直径77cmで、鐘の周囲全体に西国・坂東・秩父百観音の本尊を浮き彫りにし、各寺の御詠歌を刻みつけた見事な物です。この鐘の由来は、昔ある人が妊娠の身でありながら秩父巡礼に出ました。途中17番付近までくると急に産気づき、赤子を産み落としてしまいました。困り果てた女は赤子を油紙に包み、寺のほとりの沼に棄てて巡礼をつづけ、やっとのことで結願を果たしました。家へ帰ってみると、捨てた筈の赤子が土間に立っている!驚いてそこを掘ってみると土の中に定林寺のご本尊の姿が浮かびでました。女はわが身の行為を恥じ、懺悔し、その罪ほろぼしに梵鐘をつくり寄進したのがこの鐘だといいます。

あらましを 思い定めし 林寺 鐘ききあえず 夢ぞさめける

住所:秩父市桜木町21-3 TEL:0494-22-6857

札所17番

本堂に向ってきざはしの左側の祠に弁財天と地蔵尊が祀られております。弁財天の縁日は巳の日なので、これから巳待講ができました。この弁財天は、開運、招福、長寿のご利益があると人々に信仰されております。地蔵尊は水子供養と子育てのご利益があるとして、お詣りする人が多いです。赤いおかけやお花が供えられております。

 
札所17番

本堂の左手のお宮に、諏訪神社と蚕影神社があります。この諏訪神社は家内安全の守り神として信仰されております。蚕影神社は、お蚕の神様で戦前秩父地方で養蚕が盛んだった頃、蚕の無事生育とよい繭ができるようにと深く信仰されておりました。秩父市民の人が拝んでいる姿を見かけます。

 
札所17番

ここには、入り鐘をつけばお金が入る梵鐘があります。これは、県指定重要文化財に指定されております。この鐘を拝む前に撞くのを「入りがね」といいお金が入るといわれております。お寺を出るときに撞くと「出がね」となってお金が出ていってしまうといわれております。この鐘には西国、坂東、秩父の100観音が浮き彫りされ御詠歌も刻まれております。宝暦八年に鋳造されたものだといいます。この鐘を撞いて、拝んでいる巡礼者の姿を見かけます。