札所12番 仏道山野坂寺

秩父札所12番寺の桜並木の参道の正面100mほど前方に城門を思わせる黒塗りの楼門が見えます。明治末期の火災で寺は焼失してしまったが、幸いに山門だけは残りました。入母屋二重垂木の八脚門で、左右に火灯窓(花頭窓)を配し、自然木の丸太を柱として上層・橡・勾欄をまわした簡潔で重厚なところは禅寺に似つかわしい風格を保つ。楼上には阿弥陀・釈迦像・十三仏像が安置され、階下両脇には十王をまつっております。秩父札所12番の本堂は六間四面で、内陣にまつられている本尊は、一木造りの藤原時代の作と言われている聖観世音で、優しい顔立ちをした豊麗な美人を思わせるような立像であります。昔、甲斐の国の絹商人がここを通りかかったとき、山賊に襲われもはや叶わぬ命と一心に南無観世音を唱え続けた。すると肌のお守りが光明雷のごとく輝き、賊どもは眼を射られて逃げ去った。観音の功徳に感泣、後にこの地に堂宇を建て、観世音を勧請してまつったのが秩父札所12番寺の草創だと言われております。

老いの身に くるしきものは 野坂寺 今おもいしれ 後のよのみち

住所:秩父市野坂町2-12-25 TEL:0494-22-1608

札所12番

良寛さんの
「幼な子が 次第々々に智恵つきて
佛に遠くなるぞ悲しき」
という歌があります。そこでこの観音様に触れて、悪い智恵のつく前の昔の心に戻るというのであります。本堂の横にあります。

 
札所12番

本堂の正面に童顔の六地蔵が立っております。お地蔵様に刻み文字!
動ー直心 人の為に動く無畏の心
友ー思心 思いやりの心、人と共に生きる心
優ー温心 穏やかな心、灯のある心
?ー無心 無策の心子供のいたずら心の如し
願ー祈心 喜んで人の為に祈る心
空ー佛心 虚空の如く広く深く明るい心

 
札所12番

山門の正面のあずかり観音は苦しみをあずかるといいます。右側:怒り、腹立ちを観音様にあずけて平常心にもどりましょう。中央:病い痛みを観音様にあずけて楽しい毎日を過ごしましょう。左側:煩い悩みを観音様にあずけて安らぎの心にもどりましょう。

 
札所12番

山門の左に十三佛が祀ってあります。両親供養に訪れる人が多いです。また、十二支の守り本尊として深く信仰されております。虚空蔵菩薩・丑寅歳・不動明王・酉歳・文珠菩薩・卯歳・大日如来・未申歳・普賢菩薩・辰己歳・千手観音菩薩・子歳・阿弥陀如来・戌亥歳

 
札所12番

山門を入って右側に、観音様の右手からきれいな清水が垂れております。これは、心身を浄める観音様のお水です。この裏山に湧く水をひいたもので、年間涸れることがないそうです。ここで手や口を浄めてから観音様を拝むのであります。この水をためている大きな石は、観音様の左手の形をしております。ありがたいお水です。

 
札所12番

本堂の右手にお堂があり、呑龍上人と書かれた顔があります。ここには子授け観音と、呑龍上人が祀られております。この観音様にお願いして、子供が授かったら、呑龍様に無事成長をお願いするのであります。呑龍様は武蔵野国埼玉郡の生まれです(弘治2年~元和9年)。芝増上寺で修行した後、八王子の大善寺の住職を務めます。将軍徳川家康の命により、上州太田の大光院を建立します。貧しい子供を手厚く保護したことから、「子育て呑龍」と呼ばれ民衆から尊敬されました。

 
札所12番

山門の右側に稲荷大明神が祀られております。稲荷大明神は、寺院を守護してくれるといいます。また信仰する者には家内安全、豊作の御利益があると言われております。多くの巡礼者が、今年の豊作を願います。

 
札所12番

鳥獣供養観音菩薩は、文字どおり鳥獣の霊を供養する観音様であります。山門を入って右手の奥にあります。鳥獣を扱う業者によって建立されたものでありますが、一般の人が、ペットの供養をすることもできます。最近は、ペットブームなので供養をする人が増えたみたいです。