札所9番 明星山明智寺

秩父札所9番寺の元の観音堂は、1881年(明治14年)に落雷のため焼失し、その後建造されたものは、間口4間、奥行3間のこじんまりしたものでした。しかし、平成2年3月に、新しく建立された新観音堂は、二間六面の六角堂形式の美麗なもので、ここに御本尊をまつるとともに、従来の建物も新しく造りかえられました。秩父札所9番の縁起によれば、昔この村に親孝行な少年がいました。盲目の母の眼を開かせようと、日夜老母の手を引いて観音様にお詣りしていました。ある日のこと、老僧が現れて、この母子の健気な姿を大いに哀れみ、母に眼を救いたければ観音経の「無垢清浄光・慧日破諸闇」の二句を唱えるよう論すとそのまま姿を消してしまった。母子は、堂にこもって、一心に観音経の二句を唱えつづけていると明け方、内陣から明るい星が光りまたたき二人を照らした。そのとたん母の眼が一瞬のうちに開いて、暗黒の世界から解放されたといいます。

めぐり来て その名を聞けば あけち寺 心の月は 雲らざるらん

住所:秩父郡横瀬町横瀬2160 TEL:0494-24-3125

札所9番

ここには珍しい文塚があります。昔、一条天皇の皇后が難産で苦しまれたとき、恵心僧都が勅命により九寸一分の香木に如意輪観音を刻み、安産を祈願して無事出産されました。以後女人が願いを書いて納めたのが文塚のはじまりといいます。今は写経の供養や、学業成就、家庭繁栄の御利益があるとして大勢の人に信仰されております。

 
札所9番

文塚の隣りにあるこの観音様は優美なお姿で立っておられます。子育観世音と金色の字が彫られております。子供の無病息災、無事成長をお願いする観音様であります。巡礼者の多くの人が、子供の成長を願って拝んでいる姿を見かけます。

 
札所9番

文塚の下にたくさんの札が掲げてあります。書いてある字を読むと「元気で健康な双子ちゃんが生まれますように・・・二人とも無事に健康な体で生まれてきますように・・・」と書かれております。巡礼者の人が安産を祈願して納めたのでしょう。なんとも、安らかな気分になりました。