札所1番 誦経山四萬部寺

秩父札所1番は、秩父観音霊場、札所1番としてよく知られています。山門をくぐり中へ入ると、正面奥に朱塗り銅葺きの観音堂が端然と建っています。元禄の頃の建築といわれ、精緻な造り、荘重で気品のある堂宇は県指定文化財になっており、緑の木立とよく調和してすごく美しいです。秩父札所1番は昔、性空上人が弟子の幻通に、「秩父の里へ仏恩を施して人々を教化しなさい。」と命じました。幻通はこの地で四萬部の佛典を読誦して経塚を建てました。四萬部寺の名前はこれによるものです。

ありがたや 一巻ならぬ 法のはな 数は四萬部の 寺のいにしえ

住所:秩父市栃谷418 TEL:0494-22-4525

札所1番

本堂の右手に施食殿の額のかかった立派なお堂があります。周囲に戸障子のない吹抜の上屋風の施食堂は中央部に八角形、回転輪蔵形式の厨子を置き、中には施餓鬼者の戒名を記した日牌・月牌を納めてあります。お施食とは、父母、水子等があの世で受けている苦しみを救うための法会であります。この寺の施食は、蚕、家畜、ペットの霊まで供養するのであります。毎年、8月24日に、この堂で行われる四万部の施餓鬼は、関東三大施餓鬼の一つとして大変賑わいます。古くは、三十俵の米を炊き、詰めかけた信者はもとより、多くの乞食たちにも平等に施したものだったといいます。

札所1番

幻通が法華経四万部を書写し、読誦し供養して地中におさめた経塚があります。この経塚本尊の釈迦如来像が明治の末に、行方不明になっていましたが、70年ぶりに都内銀座で発見されました。浄財にて買戻し、経塚も復元されその上に安置されました。この前に立って拝むとき、佛徳の偉大さとありがたさを強く感じるのであります。秩父札所1番寺には、経塚復元の碑が建っています。

 
札所1番

納経蔵があります。これはこの寺の縁起に因んで、一般から写経を募り、昭和の写経四萬部をここに奉安するものであります。先祖供養、水子供養、交通安全、厄除開運等はもろもろの心願成就のため写経をするもので、その功徳は無量であるといわれております。

 
札所1番

本堂の中へ入ると、左の奥のほうへ、おたすけ観音様が安置されております。昭和初期の作で、多くの生命を救ってくださり、また、悩み、苦しみをおたすけくださるとて、大勢の人々に信仰されております。直立不動の、均整のとれた気品のある美しいお姿であります。悩み、苦しみの多き時代となってきましたが、おたすけ観音様を拝み、多くの人々の心を救ってくださることを心より願っております。

 
札所1番

生まれ年にそれぞれの守り本尊様があります。この本尊様にお詣りすると、厄除開運、心身健康、合格、良縁等の諸願成就の御利益があるといいます。皆さん、それぞれの守り本尊様をさがして諸願成就の御利益をもらいましょう。

 
札所1番

境内に功徳石があります。円形の石に、七観音の梵字が彫ってあって、手で自由に回せるようになっております。観音様を念じつつ、この石を回すと御功徳があるのであります。観音様を念じながら、ゆっくりと回して御功徳をもらいましょう。

 
札所1番

平和の鐘があります。この鐘には、秩父郡市出身の一千霊の名前が刻まれております。この鐘を静かに撞くことによって、その音色で英霊を慰めるといいます。このお寺にきたら、この平和の鐘を静かに撞き、英霊を慰めましょう。